推し活合戦 熱狂を生む要素 スポーツと音楽

絶賛推し活中=娘のハンドボールチームの応援 の先週末、ひとつの山場を迎えた。
いや、試合は常に山場ではあるのだけれども、何せインターハイ県予選の決勝だから選手はもちろん、応援する方もドキドキ、ワクワク。

インハイ県予選決勝

決勝の相手は、中学の先輩がいたり、家が割と近所だったり、中学時代も練習させていただいた学校。
よって、知り合いも多い。

試合前、相手校の選手のお父さん(たまぁに近所で飲む)と、

「どっちが勝っても、悔いが残らないように戦ってほしいですね」(どっちも自分のチームに勝って欲しいと思っている)

「この試合の話を肴にまた飲めれば良いですよね」(100%本音だけど、自分のチームに勝って欲しいと思っている)

みたいな話をするも、試合が始まると両チームともに激しい応援合戦。
試合はもちろんのこと、推し活と推し活のぶつかり合いがはじまった。

試合開始

ひと月前くらいの別な大会の県大会決勝戦と同じカード。
その時は娘のチームの勝利。
今回もそうあって欲しいと願う。
そう願うのは、こちらのチーム。あちらのチームはひっくり返したい。

序盤2点リードし、良いムード。
かと、思いきや追いつかれ、なかなか入らない得点。
前半が終わるとなんと、7点ビハインド。

完全に研究されている。
攻撃の起点となる動きを封じられ、サインも読まれている感じ。
とはいえ、2週間前の関東大会では、全国ベスト16のチームに5点ビハインドをひっくり返して勝利している。
今回も!と誰もが願っていただろう。

後半が始まる

試合は7点ビハインドのママ、シーソーゲーム。
途中、3点差まで詰め寄るも、また離され最大点差8点。
残り12分で7点ビハインド。
かなり厳しい。
いや、そもそも決勝戦。
拮抗しているチーム同士の戦い、常識的に考えるとひっくり返すのは無理。
でも、選手も応援する保護者も諦めない。

守って1点、守って1点、、、。
なんと2点差まで追いついた。
少ない残り時間。
エースが相手ディフェンス間に切り込み1点奪取。
その際、相手ディフェンスがたまらずファール。
2分退場。
数的有利で1点差。

守って攻める、パスがポストに渡る、シュート。

同点!

決着

残り時間わずか。
1点取った方が勝ち濃厚となる局面。
1人足りない相手はキーパーを下げ、オフェンス投入。
どちらも1点決めたい。
こっちはまずは守りたい。

パスカット!
ボールはセンターに渡り、そのママ自陣からロングシュート。

エンプティゴールにボールは吸い込まれた。

逆転!
7点差をひっくり返した。

残り時間、本当にわずか。

相手の怒涛の攻め。
残り時間わずかなのに、長く感じてしまう不思議。

何とかしのぎ、こちらのボールに。
残り2秒、エースがセンターライン付近からシュート。
ボールは枝にあたり、宙を舞い、地面に着くか着かないかで笛。

試合終了。

膝から崩れる両チーム。

歓喜で崩れるチームと悔しさで崩れるチーム。

この両チームでしか有り得なかった素晴らしい試合だった。

インターハイに出場するチームと今日で3年生が引退するチーム。

この1戦でチームの状況はガラリと変わる、そんな試合。

試合終了後

相手チームのお父さんと、
「すごい試合でしたね、また飲みましょう」
「次も頑張りましょう!」
と話す。
そう、1年生と2年生の娘を持つ我々にはまだ次がある。

その後行われた男子の決勝を観るために移動中、選手控え室前で先ほどまで戦っていた両チームの3年生が何やら話をしていた。
何度も戦っているから仲良しでもあるのだ。

「お土産買ってきてね」
「うん、たくさん買ってくる!」

どっちとも泣き腫らした顔で、でも明るくスッキリした表情で話していた。

悔いがないと言えば嘘になるのだろうけれども、いい試合だったんだろうな、と思った。

熱狂を考える

ツラツラとすごかったなぁという思い出を書いたけど、結局、個人的な事で知らない人が読んでも、試合を観たとしても、なんにも面白くないし、熱狂はしないだろうなぁと。まぁ、そもそも読みもしない。
でも、推し活した人たちはもちろん、会場にいたハンドボール好きな人は心動かされた試合だったと思うし共有できると思う。
この熱狂を考えてみると、必要要素は大きく3つかなと。

・[事象]もの凄い試合展開と3年生にとっては引退がかかった試合であること
圧倒的な差がついた試合だったら、熱狂は生まれなかっただろうし、3年生の引退がかかっているという縛りがよりドラマティックな展開を生む。
選手だけでなく、周りの盛り上がりも大切。
高校野球、高校サッカー、花園などが良い例。

・[背景]試合だけでは見えてこない背景のストーリー
チームの成長ストーリー、歴史、伝統、ケガからの復帰、これまでの試合展開、頑張った日々etc、それぞれのチームにある様々なストーリーが1試合1試合の内容をただの勝ち負けでないものにする。

・[知識]ハンドボールはどのようなスポーツか?ルール、戦術etc
ルールを知らずにスポーツを観ても、なかなか凄さがわからなかったりするので、ある程度の知識がないと面白さがわからない、というのが大きい。

これを音楽に置き換えてみる

・[事象]不意に聴こえたロックンロール
ラジオから流れてきたロックンロールを聴いて、ガツン!と来て、それからロックンロールの虜だ。みたいな一撃必殺。
この一撃の強さが、即熱狂に繋がるから凄い。

・[背景]落ち込んでる自分、恋愛している自分etc
その時々の自分の状況で響く音楽が違ったりするんだろうなぁ〜と。
ドンピシャでハマった時、ヤラれる瞬間なんだろうと。
こちら結局、[事象]に繋がる。

・[知識]アーティストのストーリーだったり、音楽の歴史だったりetc
これは、ハマってから調べたり勉強するとさらにハマって、熱狂が熱狂を生むみたいな構造に。沼化。
あなたを知れば知るほど好きになる、愛おしくなる、的な。
現実社会では割と困難な熱狂があるように思う。

どっちにしても、「これは自分ごとなのである」 ということが大切。

音楽でなくても、芝居とかドラマとか絵、格闘技とかも一撃の強さがあるけど、スポーツってルールを知ったり身近で触れたりしないと、難しいかも、と思ったのでした。

逆に言うと、地域に根付いていたり、頻繁にメディアで放送されていたり(サッカー、野球、バレーボールetc)していると、面白さが伝わったり、ファンが増えたり、発展するんだろうなぁ、スポーツに限らず文化的なものも。

いとおかし

高校時代の担任の教師であり、国語の教師が、
「"いとおかし"の意味は"趣がある"とか言うけど、スーパーカーが通るだろ!?そしたら、どう思う?
“カッコイイ!!"って思うだろ!?
それが"いとおかし"だ!」
と言っていたのをふと思い出す。
スーパーカーをそんなにカッコイイとは思わないが、目指すところ、たどり着いた先が、"いとおかし"だったらいいなぁと思う。