テキヤはどこからやってくるのか? 読了

2015/02/19

毎年楽しみだった夏祭り。

何が楽しみだったって、普段人通りの少ない田舎の商店街をびっちり埋め尽くす露店。たこ焼き、焼きそば、フラッペ、金魚すくい、型抜きetc、子供の頃の自分には夢の国のような風に見えたものです。

中には、見世物小屋や当りそうもないクジ、なんか怖そうなんだけど話してみると気さくで仲良くしてくれるオヤジやあんちゃん、なんだかちょっと怪しい感じがしたのも、子供心ながらスペシャルな感じがしたのを記憶してます。

そんなことを思いながら今年も夏祭りがあるんだなぁ、と掲示板のポスターを見た後、書店に立ち寄ると「テキヤはどこからやってくるのか? 露店商いの近現代を辿る (光文社新書)」が目に入り購入。

筆者のフィールドワーク、歴史と様々な資料から導き出される話は論文的でもあり、テキヤの素顔が垣間見られるような部分もあり興味深く読めました。論文的なのは当たり前で、元々は論文だったとのこと。

なにより、著者のテキヤに対する思い入れ、みたいなモノが感じられ、子供の頃から何となく感じていた、そして今でも自分のなかにある何かが、テキヤは祝祭感を演出する上でとても重要な存在である、という言葉でもって整理された気がしました。(当たり前っちゃー当たり前ですが、普段あんまり考えてないことに気づくってのは、読書の美味しさのひとつだと思います)

本書では、タイトルにもあるように、歴史を追っているんですが、個人的に興味深かったのは、戦後すぐの頃の話。

目次で言うと、第四章 第二次世界大戦の混乱と露店商−敗戦後の混乱期− の中にある、誰が闇市の主導権を握るのか の部分。

いつの時代も主導権を握る(悪者を排除し、健全な商いをする)には、主要人物を集め、ルールを作る、ということが行われるんだなーと。

夏祭りを別な角度から楽しめる一冊だと思います。

最後に目次を。。。。。

目 次
はじめに
【第一章】 露店商いの地域性
・静岡あたりの見えない壁
・「文化の壁」と「なわばり」
・身内とそれ以外
・日本は三地域に分けられるー北海道・東日本、西日本、沖縄
・テキヤの親分による七面鳥の話
・廃品回収業との接点
・テキヤの神様
・露店商の神農信仰が見えにくい理由
・「人身牛首」と素性の知れぬ草
【第二章】 近世の露店商
・名称の歴史的変遷
・近世の香具師はどのような人びとだったのか
・謎につつまれた商人
・「こんな晩」と「旅の薬屋」
・例外的につくられた文書
・典型的な香具師の由緒書
・香具師の仕事
【第三章】 近代化と露店 ―― 明治から第二次世界大戦まで
・近世の江戸と近代の東京の間に
・近代的知識人と露店商い
・露店商社会の隠語
・地位の向上を目指して
・エロ・グロ・ナンセンス
【第四章】 第二次世界大戦後の混乱と露店商 ―― 敗戦後の混乱期
・闇市の出現
・誰が闇市の主導権を握るのか
・GHQと露店
・露店は社会の病気か−進化論と社会病理学
・テキヤの伝統へのまなざし
・仮説から常設へ−露店収容施設
【第五章】 露店商いをめぐる世相解説 ―― 一九六〇年代以降
①親分子分関係
・親分子分とは
・親分子分関係が必要なわけ
・親分子分関係は頼りになるが窮屈でもある
・親分がカラスが白いと言えば…テキヤの親分子分関係
②なわばり
・なわばりとは
・重なり合うテキヤのなわばり
・テキヤ集団の業態
・なわばりを支えるもの
・テキヤ集団の「系統」とすみわけ
・なわばりを使いこなす
③口頭伝承と文字による記録
・口上を述べる
・口上で伝えること
・民間伝承研究とテキヤ
④テキヤは特殊なのか
・ラーメン売り
・露店商は異人か
・露店商いと犯罪
・一番偉くないヤクザ?
・極道と神農道
おわりに

 

 

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