「本所おけら長屋」になぜハマったのか?

読書をほとんどしないカミさんが誕生日プレゼントで本をくれた。
それが「本所おけら長屋」との出会いだった。
「何となく好きそうだったから。好きかどうかわからないから10巻まで買ってきた。面白かったら自分で買って」
好きかどうかもわからないのに10巻まで買ってしまう。カミさんはそういう人間だ。

さて、いざ読んでみると、最高に面白い!
シリーズで165万部突破というんだから、1巻あたり10万部くらい売れてるんだから、今さら読み始めた私が「面白い!」と言ったって、「知ってるわ!」と言われるだけだろうが、まだ未読の方には是非、読んでいただきたい。

貧乏長屋の住人たちが助け合い、時に喧嘩をし、金もないのに酒を飲み、吉原に行き、博打を打ち、悪知恵使って金儲け、痩せ我慢をし、バカをやり、いろんな物事に首をツッコみ、いろんな事に首をツッコまざるを得なくなり、各々が自分勝手に好き勝手に日々を送りつつ、何故かおけら長屋としての一体感が生まれている。
もらった10巻はすぐに読み終えた。
そして、現時点での最新刊である19巻まで読み終えてしまった。

おけら長屋の連中はそうやって生きてきたんでえ。本気で怒ったり、泣いたりしてよ。それを本気で受け止めてくれる仲間がいるからでえ。それが絆ってもんじゃねえのかよ

本所おけら長屋(十九) 畠山健二 著

唐突に引用すると、正直クサい。
だが、「本所おけら長屋」ワールドに入っているとクサくも何ともない。むしろボルテージが上がるセリフになっている。
人情話、と言ってしまったらそれまでな気もするが、そう簡単に終わらせたくないのが「本所おけら長屋」の魅力なんだろう。
なんで一気読みするくらいにハマったのか?

この世の不幸は全ての不安

「幸せ者」Fishmans

と歌ったのは、Fishmans の佐藤伸治 だが、
円安、戦争、地震、未来への不安etc、なんとなくの不安というのがそこかしろにあるような気がする現代の日々。
対して、おけら長屋の人々は少しの不安を吐露する場面はあるも、目一杯楽しんで、一生懸命に毎日を暮らして溢れる喜怒哀楽。とても清々しい。
その清々しさを欲したのだと思う。
目を背けても現実は変わらないけれど、テレビを消して、SNSもちょっと止めて、「本所おけら長屋」を読む。
そんな #読書の秋2022 (noteのお題をこなすために書いている本文)もいいんじゃないでしょうか。