中学ハンドボールライフの終わり

娘中学2年の秋、3年生が部活を卒業し新チーム発足。
強い先輩チームとは打って変わり、強豪校の名が嘘のように県大会にも出られずに新人戦敗退
なかなか勝てない試合が続き、色んなことがあり、半年後、負けたら最後の夏の大会。
なんとか県大会出場
危うい戦いの中、公式戦でなかなか勝てなかったチームに気合いで勝利し、関東大会へ。(やっぱ最後は気合いとかガッツ、気持ちなんだなぁと思った)
全国大会には行けなかったけれども、中2の秋から考えると、よくぞ強くなった!とバカ親でなくても思うと思うドラマティックな展開。
最後の公式戦、市総体。これをもって事実上の部活卒業。
優勝は出来なかったけど、いろいろ込み上げるものもありつつ、中学時代のハンドボールも終わるかな、と思いきや、神奈川選抜に選ばれ終わらない中学ハンドボールライフ
終わりは必ずやってくるもので、一番長くて12月末に行われる全国大会がその時。
全国大会に行けなかったら、そこで終了。

県選抜チームでの関東大会

いよいよ、この日がやってきた。

2試合勝てば全国大会出場決定。
負ければ、次の日に2試合勝てば全国大会出場決定。

と書くと、なんだか簡単そうだが、それぞれの県の選抜メンバーで構成されるチーム。
弱い訳がない。
県によっては、1つの強豪校でほとんどのメンバーが構成されているチームもある。
そんなチームは当たり前にチーム力がある。
ずっと同じチームでやっている訳だからディフェンスにしろオフェンスにしろ、システムが出来上がっているから。
今年の神奈川は色んな中学校で構成されたチーム。
毎週末、時には朝から晩までみっちりと練習をしてきたんだから、ただ上手なヤツらの集まったチームではなく、チームとして成り立っているとは思う。素人目線だけれども。
応援する親にも熱が入る。
そして、口々に言う
「勝って欲しい!」
と。

女子VS山梨

あれ!?なんか、調子出てないんじゃない!?
と思っていると、あれよあれよと得点を決められる序盤。
なんとか1点取り返し、少しずつ調子を取り戻していく。

「1本取って3秒で速攻!」

後ろの方から、一生懸命応援する男子の声が聞こえる。
どこの中学生かわからないが、次々に応援の声を響かせる。
ありがたい。どこの中学生かわからないけど。

「も、もり、もりあ、盛り上がりがたりないも!」

親もそれに引っ張られ、みんなで応援する。

応援の声も効いたのか、5点差くらいあった点差を縮めていく。
しかし、どうしても3点差からが縮まらない。
前半終了時、2点差。
後半序盤、また離される。

「行け、行け行け、行け行け神奈川!押せ、押せ押せ、押せ押せ神奈川!」

どこの中学生かわからない男子たちの応援が響く。
また、徐々に調子を上げて行くも、、、、、。
結果、1点差で負けてしまう。。。。。
最初から調子が良ければ。。。
と、タラレバが頭を過ぎるが、タラレバで現実は変わらない
選手、親、含めて多分みんなこう思ったはずだ。
明日があるさ
と。

女子VS茨城

「負けたら終わり、勝ちにこだわりましょう!」
と、前日の監督の言葉を噛み締める2日目。
私が噛み締めたところで、なんの役にもたたない。

試合がはじまる。
お、練習の感じ。
続けざまに点を決める。
「練習は本番のように、本番は練習のように、練習・本番・反省会、これがセットです」
とは、ケツメイシ・RYOさんが言ってた話だけれども、調整したのだろう、なんだか今日は調子が良さそうだ。
今日の調子だったら、昨日の試合は、、、。と、またタラレバが浮かぶ。

しかし、茨城は強かった。
応援も強力。
朝イチの試合だから、応援は親しかいない。
お母さん達は一生懸命声を出すも、やはりその声はか細い。
かたや、相手はバスドラ持参でドンドンドン。迫力満点。
昨日の、どこの中学生かわからない男子たちの頼もしさを感じつつ、私もビデオを回しつつ叫ぶ。

最後まで諦めずに、果敢に攻めるも敗北。。。
中学ハンドボールライフが終了した

一期一会。
残念ながら、貴重な機会。
選手たちも、応援する親にとっても。
子供たちを労いに行く母親たちを見送りつつ、私は、別コートに向かった。
女子は負けたが、男子はこれから戦いがはじまるのだ。

男子の試合がはじまる

女子の試合の直後に、全国の切符を争う男子の試合が隣のコートではじまった。
女子は負けた直後。短い期間だったが集まったメンバーでの最後の試合となった数分前、色々な、個々人の感情もあふれ出し、着替えもあるのですぐには応援に向かえない。
そっちはお母さんたちに任せて、私は同じ中学校で知った顔も多い男子のチームを応援しに向かった。

男子vs千葉。
勝てば全国大会出場決定。
気合いは十分。
応援にも力が入る。
ゴールバーに嫌われるシュート。
神がかったナイスキー。
迫力ある男子の試合に魅了されつつも、なかなか調子が上がらない。
負けてる状態で前半終了。
後半になり、女子が応援に駆けつける。
なかなか点差が縮まらない。
負けてしまった。。。。

でも、もう一試合ある。
それに勝てば全国大会出場決定。

次の試合まで3時間。
昼食がてら近くのサイゼリヤで事前祝勝会と称してワイン。(ただ飲みたいだけ)

画像
この待ち時間にサイゼでご飯!思った人が多かったようで色んな人に会う

THE 応援

男子VS埼玉。
女子も親も全員声を出す。
体育館は広い。
応援の人数も結構な数。
女子がコールを始めると、逆サイドで別なコールが始まる。
同じチームを応援しているのに、応援している方が一致団結していない、という事が起こりがちだ。
そんな中、試合が進むも調子が上がらない。
5点差。。。。
たまらずタイム。

これまでタイム中の応援席は静かだった。
が、この時は違った。

「エッサエッサー、アゲアゲホイホイ、もっと!もっと!、もっーと!もっともっと!ハイハイもう1回!」

そう、昨日も現れた、どこの中学生かわからない男子たちがコールをはじめたのだ
それに応える女子、親。
タイムの間ずっと続くコール。
コート内の男子も気づき、こちらに手を挙げる。
応援ってすごい。
しばらくすると、千葉の方でもコールが始まる。
応援合戦の様相。

タイム明け、徐々に点差を縮めるも、また離されたりが続く。
どこの中学生かわからない男子たちと共に応援は続いた

前半終了。
結構な点差(応援していて数字曖昧)。
ハーフタイム中もコールは続く。

「も、もり、もりあ、盛り上がりがたりないも!」
「行け、行け行け、行け行け神奈川!押せ、押せ押せ、押せ押せ神奈川!」

もちろん先頭切ってコールをはじめるのは、どこの中学生かわからない男子たち
ありがたい。
昨日の女子の時も応援ありがとうございます、という思いも過ぎりつつ、今は男子の応援。

決着

後半が始まり一進一退の攻防。
後半も残り数分となり、縮まらない点差。

「鬼の!鬼の!鬼のディフェンス」

鳴り止まない声援、様々なコール。

「1本取って3秒で速攻!」

このコールをまさに体現する男子。
連続速攻で1点差まで詰める!
盛り上がる応援。

観客席からは正確な分数が表示される得点ボードは見られない。
対面にある、得点ボードを見ながら、係の人が手でめくる得点板しか見えない。

残り3分、2分、1分。。。
ざっくりとめくられていく残りの分数。

残り0秒の表示。
残り時間が1分を切ったということ。
何秒残っているかわからない。
コールと雄叫びが混じった応援。

数秒後、9mラインあたりからロングシュートを放つ。
入れば同点・延長戦突入となるシュート。
枝に当たったボールは宙を浮かび、ゴール右横でバウンドした。
その瞬間、笛が鳴った。

試合終了。
1点差を詰められなかった。

負けはしたが、とてもいい試合だった。
もちろん、勝てば最高だったのだが、そんなことはみんなわかっている。
最後まで死力を尽くした、両チームに拍手を送る。
ちょっと落ち着いたところで、忘れちゃいけない。

「応援、ありがとうございました」

どこの中学生かわからない男子たちにお礼を伝え、拍手を送った。
昨日の女子の応援もしてくれていたのだから、忘れちゃいけない。

すると他の親たちも女子も同じ気持ちだったのだろう、どこの中学生かわからない男子たちにお礼の言葉と拍手が送られた。

メガホン片手に叫んでいた子
小さな太鼓を一生懸命叩いていた子
キュートな踊りで盛り上げていた子
周囲の様子を気にしてコールのタイミングを見計らっていた子

そんな、どこの中学生かわからない男子たちは、ちょっと恥ずかしそうに笑った。